薪ストーブはCO2を出す

10年ほど前まで、「地球の温暖化とは本当なのか」と半信半疑でした。しかし現在、数々の現象や証拠を確認して、「温暖化は間違いなく進行している」と確信し、大いなる危機感を持っています。冬になって、薪ストーブを焚くとき、いつも疑問を抱えていました。薪を燃やして暖をとるのは、CO2を排出しているのではないか ? と。温暖化やCO2に関するテレビ番組を意識して視聴するようになり、ようやく答えが浮かび上がってきました。薪を燃やすと、煙突からCO2を大気中に放出します。これダメじゃないかと思われるかも知れません。少し事情が違うのです。樹木は苗木から大木へと成長します。このとき必要なのが太陽光と大気中の二酸化炭素CO2です。樹木の葉には「葉緑体」があり、光が当たるとCO2を葉の裏にある気孔から取り込み、水を樹木内にある道管で吸い上げ、このふたつからデンブンと酸素が生成されます。デンプンは師管を通って木全体に送られ木は生長し、酸素は気孔を通って排出されます。光の力でCO2からデンプンを作り、その過程でできた酸素を大気中に放出しています。森林がCO2を吸収し、酸素を放出していると言われる現象です。樹木に蓄えられたデンプンとは、炭水化物、すなわち炭素と水素の化合物なんだそうです。樹木すなわち薪を燃やせば、蓄積されていたこの炭素がCO2として放出されます。しかし樹木を薪にせずに放置すればどうなるか。一定の年限を経たあと、成長は止まり、やがて倒れます。倒木となった木は、バクテリアやキノコなどの微生物によって分解され、その過程で炭素をCO2として大気に放出します。つまり木は燃やしても、朽ち果ててもCO2を出すことに変わりはありません。樹木を木材にし建築材料として炭素を閉じ込めたとしても、建物もいつか朽ち果て、廃材は地中に廃棄されるか、燃やされます。建築材料に炭素を閉じ込めても長くて1000年、日本最古の木造建築、法隆寺でもたかだか1400年です。家具にされても同じです。やがては放出されることになります。それならば、森林を伐採して薪を作り、燃やして暖をとるのはどうなんでしょう。伐採、運搬、薪割りなどにエネルギーを消費しますが、伐採した後の空地に苗を植え、森林を育てますと、CO2を取り込みながら、酸素を放出してくれます。樹木が生長している限り、CO2を吸収しつづけます。温暖化対策として森林のCO2吸収力は、いままで計算されていた量の2倍以上あるらしいことがわかってきました。寒い冬、暖を取るのにエアコン=電力(多くは化石燃料の燃焼)で、ガス・ストーブ=天然ガス(輸入に頼る化石燃料の燃焼)で、石油や石炭ストーブ=化石燃料そのものを燃焼して室温を上げる、などなどよりも、放置すれば朽ち果て、倒木となってCO2を排出する前に樹木を薪にして、暖をとるのは似たような行為ながら、まだマシな循環作業のように思えます。薪ストーブは、暑い夏の室温を下げるのに使えませんが、冬に上げるのには使えます。その代わりとして、注目すべきはバイオマス発電です。石炭火力発電と同じように、物の燃焼によってタービンを回し発電します。もちろん燃焼によってCO2を放出します。しかし燃焼させる物は、木材をチップにしたもの、生活廃棄物、畜フン、枯れ草などの有機物です。バイオマスは発電ですので、照明や、電気自動車の動力、エア・コンの動力にもなり冷房にも使えますます。燃焼物は、生成時に酸素を放出した有機物で、薪ストーブの燃料と同じです。CO2を閉じ込めた木材などのカシコイ利用方法です。森林や有機物の利用は、温暖化を阻止する利用方法として、理にかなっています。大気中の温暖化ガスとしてのCO2を吸収しているのは、海と森です。海中でも太陽光が届けば、昆布やワカメ、そして藻類は森林と同じく、海水に溶けたCO2を吸収し成長し、酸素を泡にして放出します。雨や風、波によって海に溶け込む大気中のCO2も、相当な量だそうです。海底に沈殿したCO2は、気が遠くなるような時間を経て、海溝などのプレートに潜り込み、火山の噴火によって、ふたたび大気中に放出される。地球はこの循環を繰り返してきたのだそうです。

今から3億年から3億6千年前、地球には「石炭期」と呼ばれる時代がありました。高く高く樹木が生い茂っていたそうです。その時代に茂っていた樹木が朽ち果て、倒木となったものの分解されず、そのまま地中に埋もれて石化したのが石炭だといいます。この石炭を掘り返し、動力エネルギーとして使い始めたのが「産業革命」。今回の地球温暖化は、そこから始まっています。やがて石炭にとどまらず、石油、天然ガスを使い始めて、温暖化が急激に加速したのが現状です。天然ガス燃焼時のCO2排出量は、石炭の半分ぐらいといいますが、生産と液化、輸送時にCO2を結構排出するそうです。

私は科学者でも、化学の研究者でもでもありません。しかし、地球温暖化について、一応一般人の常識範囲の知識で、述べました。おおむね間違っているとは考えていませんが、もしも、このブログの中で問題になるほど間違っている箇所があれば、ご指摘下さい。新しい知識の確保という意味で、welcomeです。今の急速な温暖化は、地球の危機ではありません。人類の危機という、深刻な事態です。食糧不足、疫病蔓延、害虫害獣の増殖などなど、人類にとっての問題がいっぱい出てきます。何とかしなくてはならないと思っています。そんな問題意識を持ちながら、町が寝静まった夜更け、薪ストーブの炎を見ていると、妙に気持ちが落ち着くのを感じています。