温暖化、どうしますか

「起こって欲しくないことは、起こらないことにしよう」

「一番そうなって困ることは、絶対にそうならないことにしよう」

これが、太平洋戦争に負けた、旧日本軍の考え方でした。だから、敵から一番痛いところを突かれれば、備えはまったくできていなかったのです。

昨日は休日でした。撮りためていたテレビ番組の内、気になっていたドキュメンタリー番組、3本を再生して、じっくり見ました。うち、2本は地球温暖化に関する番組でした。あとの1本は、次のブログで取り上げることにしましょう。

1本目、「氷の世界に」

グリーンランドの氷河上に、夏には大きな水の流れ(川)が出現し、蛇行しており、大量の水が勢いよく流れています。その流れは、途中にできた大きな縦穴「氷河甌穴(ヒョウガオウケツ)」に落下しており、このドキュメンターでは、氷上から数100mも縦に落ちた水の流れ、行方やその構造を撮影したものでした。底に落ちた水は厚い層をなしており、その下では、また水流になって、やがて氷河の端、海に面した場所へと流れて行って、海へ落ち込んでいます。氷河は海に向かってゆっくり動いていますが、氷河の底を走る水流は、潤滑剤となり、上に乗っている氷床の海への移動を早めているようです。最近の調査では、冬でも氷床の底にも水が存在している可能性もあるとのことでした。氷河、水流などを調べた、科学者たちの記録でした。

2本目、「薄氷のシベリア」

シベリアの大地、何千年、何万年と凍り付いたままの、永久凍土が溶けて、封じ込まれていたメタン・ガスなどが大気中に拡散しています。メタンは二酸化炭素よりも大気中で消滅する時間は短いものの、温室効果としては、28倍強いそうです。また、永久凍土には未知の細菌やウィルスが閉じ込められており、凍土が溶けることで、それらが大気中に放出されます。2016年にはシベリアの一部地域で、トナカイや人体に得体の知れない感染症が広がり、調査の結果、凍土から放出された炭疽菌による感染でした。さらに何万年も前に閉じ込められて、現代人が遭遇したことのない未知のウイルスによる感染症の危険も懸念されています。凍土が溶け、川が流れていて、そのぬかるみの中から、何万年も前の動物の骨や、肉といつた有機物が発見されています。トナカイを飼育する極北の人々は、牧草を求めて、夏から冬にかけて川を渡り、内陸部に移動しますが、今まで11月に氷結していた川が、凍らないため、川岸で待機せざるを得ない。零下30℃の日が続かないと、氷が薄くて渡れない事態が起きています。凍った海の氷上で生活するホッキョクグマは、海が凍らないのでアザラシが獲れなくて、やせ細っています。

思えば18世紀に起こった産業革命は、人類の生活を快適で豊かなものにしました。そしてそこから、人口が増え、人間の活動が活発になって、地球という自然に負荷をかけはじめたようです。英国では森林が少なかったため、薪、炭を求める鉄鋼業に燃料不足が生じて、石炭を利用しはじめ、他国よりも50年も先行して産業革命が始まりました。一旦、楽に移動できる、物を運べることに味を占め、その約100年後にはゴットリープ・ダイムラー内燃機関を搭載した自動車を製作、その10年後には、ヘンリー・フォードがT型フォードの大量生産に成功して、ガソリン自動車が普及します。米国では灯油や軽油によって動くトラクターが登場し、農業分野では、人力と畜力による伝統農業が、石油を使う現代農業に移行し、大量収穫が可能となりました。

世界の人口は、旧石器時代100万人、新石器時代1000万人だったのが、18世紀半ばの産業革命によって増加し、2億5000万人。19世紀には10億人、20世紀はじめには16億人、21世紀はじめには61億人、現代2020年には78億人になっています。国連や、各研究機関の試算では、2100年には100億人程度でピーク・アウトするという予測ですが、それにしても、この数百年で爆発的な大繁殖です。私たちの日々の生活は、地球に負荷をかけ続けます。睡眠時、部屋の空気を暖め、冷やし、排尿、排便のたびに、バケツ3分の1ほどの水を流し、通勤や旅行で電気やガソリンを使って電車、クルマを走らせます。歩いては登れないほどの建物を建て、エレベーターに乗って移動します。考えればキリがないほど、エネルギーを消費して生活しています。これがひとり、ひとり✕78億人です。つまりあなたの生命体そのものが、地球に負荷をかけているのです。では、どうしますか・・・・ ?  アナタこの地球上から消えますか ? →(もう、どうしていいかわからない)と言うのが本音でしょう。電気自動車に変えたから、ソーラー・パネルを設置したからと言って、済む話ではなさそうです。私は、少子化は悪いことではないと考えます。人間の活動が地球に負荷をかけているのですから。人口を減らさないと、これは解決できない気がするのです。いまも、グリーンランドの氷河に川が流れ、シベリアの永久凍土が溶け続けています。あって欲しくないこと、起きて欲しくないことが、いま、間違いなく起こっています。これに眼をそらさないで、何とかしなくてはならないのです。