ひがみ・ねたみ の国民性

もう立春も過ぎてしまいました。柿の木と柚子の木に遅まきながら、忘れていた寒肥を施しました。夏の土用にまた施肥します。今秋も豊かに結実するでしょうか。

毎日、政治のニュースを見ていると、国会議員パーティー券のキック・バック、不記載、何に使ったか ? 統一教会の選挙応援、推薦確認状の授受などなどが報じられています。トーク番組では、議員の年間収支、選挙費用なども明らかにされ始めています。衆議院であれ参議院であれ、過去1期か2期、議員を経験した人物からは、「年間収支カツカツで、秘書給与を支払うのが精一杯」だったとか、「借金が残りました」なんて、何と寂しい話しばかりが聞こえてきます。とにかくケチなお金のレベルの話しです。昭和が終わるころまでは、国会議員とはリッチな職業で、善し悪しは別にして、お妾さんのひとりやふたりぐらいは抱えているもの、国民も(そんなもんだと)許容している風潮でした。みなさん、国会議員に「身の清廉潔白」を求めますか ? 「少々のことには目をつぶって、国を動かす仕事の出来不出来」を求めますか ? 私は、報道機関を含め野党と国民が、国会議員(主に与党の)に「清廉潔白」を求めるあまり、今の日本のチマチマした現状を招いていると嘆いています。人間、自分のフトコロに入ってくるカネ、出て行くカネの惨めさを、毎日体験していると、スケールもその規模に縮んで行きます。震災への復旧支援にしてもケチケチ小出し、作る法案も重箱の隅をつつくようなものばかり。国の向かうべき方向を、大きく導くような高所からのものは見当たりません。この風潮はそろそろ変えるべき時にきています。世界では大国と言われる国のリーダーが、嘘の大義を掲げて隣国に戦争しかけてみたり、行き当たりバッタリ、何をしでかすか分からない幼稚な男が、大統領に選ばれそうになっています。アフリカでは、資源や利権をめぐって民族間での紛争、内戦、人口爆発による食糧危機、人間活動の活発化が導く地球温暖化、宗教教義がそのまま国家の法律に取って変わってしまった国民の悲劇、イデオロギー国家の中央集権権力による国民抑圧、人権侵害などなど、日本の政治が余程しっかりしないと、対処できない問題が頻発しています。そんな状況で今の日本の政治は、あまりにも小さく枝葉末梢にこだわりすぎています。

日本国民には顕著なふたつの特徴があります。ひとつは「おおらかで、和を尊ぶ」民族性です。災害や危機でも、我を押し出さずお互いに譲り合います。その結果混乱を招かず、平穏に収まって行きます。これは世界のひとびとが賞賛する良き特徴です。もうひとつは、これは困った性格で、「ねたみ・ひがみ根性」が抜けないことです。「出る杭は打たれる」の格言通り、他人の幸福・成功が許せないのです。日本人が政治に目覚め、関心が高まるほど、「ねたみ・ひがみ」が頭をもたげてきます。その結果、ドーでも良いような、およそ政治の大義からはほど遠い、細かい事象をさも大事のように、取り上げてしまいます。さらに、政治家にお金が集まるのが許せないのです。大阪を中心に躍進したN政党は、この心理に迎合して、「自ら身を切る政治改革」と称し、「議員の報酬を減額せよ」と訴えています。バカです。ちょっとした民間企業のトップであれば、年収は5千万円や1億円になります。国会議員の経費を差し引いた手取りの年収が、1億円ぐらいあってもイイではありませんか。それくらいの能力を備えたひとに、国政を担って貰わなければ困ります。これは民主主義の必要経費なんですから。加えていつしか、議員の年金制度は廃止されて、退職後の保証はありません。これも議員が優遇されていると言った間違ったヒガミが招いた結果です。これではまともな人間は、国会議員を目指さないことになってしまいます。結果、意欲にあふれたスケールの大きな人材が逃げてしまう職業になってしまいました。国会議員には「立法」と「国政調査」の仕事があるそうです。所が野党がやっているのは「国政調査」の一面ばかり、大臣や行政官のミス・不手際をツツくことにばかりに血道を上げています。前回の衆議院議員選挙で、大阪府T市とS町選出だったT女性議員が落選しました。私はこの人物を「日本人の恥」と思っていましたから、胸が透く思いでした。「有権者は良く見ているナ、捨てたモンじゃないネ」と感動しました。しかし、次の参議院議員選挙に、また立候補し、当選してきたのです。今またあんな人物が、まぎれもなく「日本の国会議員」です。実状、彼女は立法府の議員と言うよりは「プロレスラー」です。国会という国民の面前(リング上)で、大臣、与党議員、行政官をサンドバッグさながら、殴打に殴打することが仕事だと思っているようです。「あなたは疑惑の総合商社と言われていますが、疑惑のデパートじゃないですか ? 」「あっヤバイと思ったんじゃないですか ? 」。・・・ムムム、これが国会審議でしようか ? しかも本人は以前、架空の秘書給与を計上し、フトコロに入れて刑事訴追され有罪判決を喰らっています。それでも ( 恥ずかしげもなく、よくもあんなにプロレスが演じられるなァ ) と呆れます。以前、彼女が所属していた日本S党は、1960年当時自民党と並んで、日本を二分する大勢力でした。それが国家の「大義」や「立法」を忘れ、「国政調査」というプロレスばかりを演じて正義の味方ぶることを続けました。結果国民から飽きられ、その凋落の激しさは目を覆うばかり、いつしか霧消してしまいました。国民はバカではありません。今のすべての野党も、このプロレスラー病にかかっています。自民党がどれほど失敗を重ねても、野党の支持率が上がらないのはそのためです。これに気づかず、立法作業を忘れがちになるのは、「正義の味方ぶる味」が麻薬のような依存症の蜜の味を内包しているからに違いありません。与党議員もカネに困り、ビンボー議員ばかりです。パワーや才能に溢れた議員は、ほとんど見当たりません。この状態は、野党にとってチャンスのはずですが、野党議員もビンボーに慣れて人材不足、国家を担う国会議員全体がビンボー慣れの情けない現状です。国家にまともな指導者がいない状態、これは危険です。国を動かす人材には、スケールの大きな人間が必要です。

私たちは土壌を改良し、肥料を施して豊かな農地を作ることで、良い作物が収穫できることを自然から学んでいます。土壌としての収支が貧困な職業には、豊かな作物果実は実りません。当然その打開策は報酬の引き上げと、退職後の充実した年金です。皆さん、そろそろ、ケチらずに、議員報酬を大幅に引き上げ、議員年金制度を復活して、国会議員をマトモな職業にする以外、手がないのに気づいて下さい。ある程度のコスト高は「当然経費」として受け入れて下さい。ひがみ・ねたみ根性で批判しないようにお願いします。