気候変動

地球温暖化が話題になって、もう20年も30年も経ちます。最初の頃は、温暖化って本当に進んでいるの ? なにかデータの読み違えではないの ? 気温なんて一定の幅をもって上下するもの、上昇時だけを取り上げて、下降時を無視しているのでは ? などなど、本気で危機感をもつには行きませんでした。しかし、この直近10年ぐらいは、かなり確かなデータが示され、本当に危機へと突き進んでいるのを感じるようになってきました。

この危機とは、地球の危機ではありません。人類の危機です。地球本体にとっては、温暖化も寒冷化も高湿化も乾燥も、危機でも何でもなく、何度も経験してきたことです。氷や海の水量が増えようが減ろうが、大陸が移動しようが、暴風が吹き荒れようが、地球にとって別にどうってことはありません。それは、そこで生きている人間にとって、大変なことであります。地球の長い時間の中で、海進(=海水が増大して、海水面が上昇)や海退(=海水が減少して海水面が下降)は結構普通にあった現象のようです。それも20~100m規模で。海退の証拠は海水面下に沈んで見つけにくいようですが、過去、海岸線が現在より100mも沖にあったという研究もあり、また、現在の海水面よりも20~30m高い場所に貝塚遺跡があるという証拠や、珊瑚礁の痕跡が残っていたりするようです。縄文時代の縄文海進では、関東平野の3分の2は海水面に覆われていたという研究もあります。現在冬期、氷点下20℃~30℃にもなる青森県や長野県八ヶ岳山麓に、縄文人が集落を築いていたのが不思議でしたが、超温暖化時代だったと考えれば、合点がゆきます。氷河時代の海退では、ベーリング海峡はひとが歩いて渡れる浅さだったため、東南アジアやシベリアの人々が北アメリカ、中米、南米へと移住したのではないかと言われています。

ただ、これらの温暖化、寒冷化は数千年、数万年のスパンで上昇、下降したのに比べて、現在の温暖化はたかだか数百年、産業革命以後に急激に上昇したことに問題があります。私は、この原因のひとつに、人口爆発があると感じています。

世界の人口は、旧石器時代100万人、新石器時代1000万人。それが18世紀半ばの産業革命によって増加し、一挙に2億5000万人。現代2020年には78億人になっています。増えすぎました。大繁殖です。食糧確保のため大農業、生活のための移動、体温維持(空調)、排泄などによる水質悪化と温暖化ガスの排出、地中からのエネルギー採掘、都市の建設によるセメントや鉄鉱石の消費。などなど。

こうして増えすぎた人間は、ちょっとした環境の変化に脆弱です。現在、人口減少が、政治問題化しつつあります。子供の数を増やせと号令がかかっています。一度立ち止まって考えてみましょう。子供を増やせとは、働かずに年金で生活している人々のエゴではありませんか。若い世代に働いてもらってとは、人手不足を含めて、今の社会体制を変えずに楽していたいとの考えではないですか。それが壁に当たると、今度は移民に頼ることまで考えます。今の社会体制で、下働きを誰かにやってもらって、自分は年金を継続して受け取りたいという身勝手さが目につきます。高齢者が旅行を楽しむのも結構でしょう。しかし、ホテルの清掃、ベッド・メイキング、レストランの調理、皿洗い、鉄道の保線作業、バス・タクシーの運転など、誰かに働いてもらうことで成り立つ贅沢です。以前は人間がこれほど長生きしなかったので、問題は目立ちませんでした。また、長生きした高齢者も、何らかできる範囲で働いて、社会に参加していました。それが、年金もらって毎日遊んで暮らすために、「子供を増やせ! 」とは、エゴにしか見えません。人口を減らしてゆく、そしてそれに合致する社会を構成して行く、これがこれからの進むべき道のように思えます。世界人口を減らしてゆくこと、これが温暖化の解決みならず、世界の問題解決の糸口のように思えます。発展途上国の人口増加は、悲劇と表裏一体です。食糧難、疫病といった生存にかかわる危機をはらんだ問題です。人口問題解決の「解」を飢餓や疫病に任せることは、悲劇としか言いようがありません。もう少し賢い方法を探るべきだと思います。運河を作り井戸を掘り、農業を推進することは一時の解決策にはなりますが、それはまた、それだけ人口を増やすだけです。何かもう少し賢い解決策を、世界で考える・・・・・。まずは、人口減少へ舵を切りましょう。