大っき過ぎるのは良くない

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写真はクレムリン天安門 Pixabayから

世界地図を開いてみると、ユーラシア大陸の北にロシアという大国があります。その南、中央部にはまた中国という大国があります。我が日本国の領土よりも何十倍も広いこの二大国を見ていると、私はひとつの感慨に襲われます。それは私の半生にわたる格闘から導かれるもので、(よくまあ、こんな広い国を統治しているなァ)との思いが湧いてきます。

物事には何事にも「適正規模」というものがあって、大き過ぎても、小さ過ぎても上手く行かないものです。私は経営する我が家の家業を、5年前に縮小しました。装置産業と言えるような家業ですが、先代(我が親)は虚栄心のかたまりのような人でして、目いっぱい背伸びをして業種としては桁外れの広さの土地を手に入れ、無理に無理を重ねて経営を続けていました。業種としての適正規模をはるかに超えた経営が上手く行くはずがなく、いよいよ行き詰まり、学校を出て別の道を歩んでいた私が、自分の道を断念して、代わって経営しなくてはならない羽目に陥りました。当時、日本は高度成長期の真っ只中、朝、昼、夜、睡眠時間も削って、滅茶苦茶大車輪の忙しさ。そうして何とか借金も返せたころから、敷地規模の過大が重荷になりはじめました。それから約30年間、ほとんど利益も出ず、それでもなんとか借金も増やさずやってきましたが、振り返れば家業の維持に時間を浪費しただけの、虚しい想いが悔しく残ります。(いつまでも、こんなことを続けていられない)と思い立って、7年前に土地建物を売却、以前の土地面積の10分の1以下の面積土地を市中に購入、建物を建設し移転、5年前から営業を再開しました。そこへ2年前から新型コロナ・ウイルス蔓延、我が家業の業種はモロに影響を受け、売上げは激減しました。あのまま以前の規模で経営を続けていれば、間違いなく倒産していたはずです。しみじみと感じます。(過大な規模のものを所有していても、良いことは何もない !  )。昭和はじめ頃から日本国も領土拡大に邁進しましたが、確保したその領土維持に大変な思いを味わい、やがて後退を余儀なくされ、最後は国土が焦土と化しました。「身の丈を知る」のがいかに大切か経験したはずです。

ロシアのプーチン大統領は、1721年から200年間にわたったロシア帝国の復活を夢見ているようです。今回のウクライナ侵略を見ていると、帝国とそこそこ同じ規模だった、ソヴィエト連邦崩壊を目の当たりにした悔しさに怒り狂った所業に見えてきます。ソ連時代の不自由と、統制国家運営に懲り懲りした東欧諸国のロシア離れ、NATOへのなびきの原因を反省もせず、ウクライナという逃げた嫁ハンを追いかけて、力ずくでヨリを戻そうと焦っているような無様な姿が見てとれます。また、中国、習近平国家主席は、ユーラシア大陸の大部分を制圧したチンギス・カンよろしく、その広大な国土とともに、強大な経済力、軍事力を誇っています。自国の領土でもない海洋に人口島まで作って、近隣諸国と摩擦を起こしています。プーチンのモチベーションには、かって大繁栄した帝国への浅ましいまでの回帰、郷愁が感じられます。ジョージアチェチェンウクライナといった離反国に対し、執拗なまでの非人道的対処は、スターリンの粛正にも共通する残酷さを感じます。習近平新疆ウイグル自治区住民への圧政、チベット自立を目指すダライ・ラマ政権への威圧、南シナ海への進出は、飽くなき領土拡大欲求とも見て取れます。私は言ってやりたい。「プーチンよ、去る者は追わず、手放しなさい。南樺太も、北方四島も日本へ返してしまいなさい。感謝されて何もかも上手く行くよ。習近平よ、そんなに拡大ばかりに向かっていると、やがて崩壊するゾ。拡大欲求とは、虚栄心とメンツの裏返し。ウイグルチベットも独立国として認めて手放し、領土をいったん縮小してみろよ。ずいぶん楽になって、こころ休まるよ。君達はそれでも十分広大な領土をもっているんだから。アメリカだって大きすぎて、国民が二分されて困っているんだよ」と。