喪中ハガキの季節

f:id:doiyanneko:20201203132718j:plain
f:id:doiyanneko:20201203132635j:plain

紅葉・落葉・実をつけた何の木なのか

師走にはいりますと、いつもながら喪中ハガキが届きます。数年前までは「父が、母が90何歳。あるいは百何歳で他界しました。」というお知らせが多くありました。このところ「兄が、姉が」という文面にまじって、先輩もあり、同期もあり、はたまた年下のご逝去喪中お知らせも来るようになりました。そろそろ自分自身も、棺桶に収まる年齢に達しているのだと自覚します。母を看取ったとき、「人生ってこんなに短いものだったのか。アッという間だった」と何度かつぶやいていたのを思い出します。

死んでしまえばそれまでですが、生きていればいろんなことがあるものです。今年にはいって新型コロナ・ウイルスが流行しはじめ、はや11ヶ月が経過しました。去年までに亡くなったひとは、こんな時代が来ているとは想像もつかなかったでしょう。ちょっとした流行り風邪のようなもので、警戒にはおよばないとか言っているうちに、パンデミツク。世界中に拡散しひとびとの生活を一変させました。20世紀にはいって人類は細菌(バクテリア)をほぼ制御したように見えます。しかし、風邪、インフルエンザをはじめ、エイズエボラ出血熱SARSノロ・ウイルスなどウイルスによる感染症に脅かされています。一説には、人間がいままで接触のなかった自然にまで進入し、ウイルスを持ち帰って拡げているのだといわれております。今回の新型コロナは、何かの野生動物を喰ったからだとか、ウイルスの研究過程で管理に失敗し、ひとに感染し拡散したとか言われます。いずれにしても未知のウイルスはまだまだ存在するらしく、怖いはなしです。

微生物とは文字通り「微細」な「生き物」です。顕微鏡で見なければ姿は見えません。人類は太古のむかしからメカニズム不明のまま、経験として食品の発酵や身体の病変に対処し細菌とつきあつてきました。細菌とは長いおつきあいです。ところがもう一段微細な生き物「ウイルス」は20世紀にはいった頃から存在が発見され、研究されはじめました。感冒やカイコの病気、タバコの葉がモザイク状態になるなど病変原因が解明されはじめました。細菌が細胞をもつのに対し、ウイルスはタンパク質でてきた殻のなかに遺伝子をもつだけの、単純な構造だそうです。細菌は自分で増殖できますが、ウイルスは生物の細胞に入り込まないと増殖できないそうです。ウイルスが進入した細胞は増殖によって破壊されます。ウイルスには発酵などという利点はなく、病変をおこすだけの存在のようです。私たちはいろんな動植物といっしょに生きてきました。共存しあい、時に病気の被害に遭い。細菌ともウイルスともいっしょに生きてきたはずです。この50年ほど、世界中のひとびとが驚異的頻度で移動するようになりました。渡り鳥によるインフルエンザも家畜同士、ひと同士のウイルス感染も限られていましたが、頻繁なひとの移動は強毒ウイルスを一挙に世界中に拡散する結果になりました。景色が一変した感があります。私が小学生の頃「風邪に効くクスリを発明すれば、ノーベル賞ものだ」と教えられた記憶があります。60年経った今も状況は変わっていません。ウイルスを撲滅するクスリはありません。みなさん、これからどうします ? 。渡航制限、三密制限をつづけて生きてゆきますか。全人類が抗体をもつまでガマンですか。またまた新たな、やっかいなウイルスが蔓延する可能性もあります。どうすればいいのか、The answer is blowin’ in the wind答えは「風のなか」です。生きているのはシアワセばかりでもなく、死ぬのも不幸だけではない気がしてきました。喪中ハガキを見ながら、そんなことを考えていました。

昨日、鴨川の河川敷を散歩しましたら、めずらしくユリカモメの一団が川中にいました。ながらく見なかったのですが。

f:id:doiyanneko:20201203133243j:plain
f:id:doiyanneko:20201203133202j:plain