限界集落-過疎の問題

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インターネットであることを検索していましたら別途、偶然『「限界集落」化の歴史的プロセスに見る山村の未来』と題したPDF論文に行き当たりました。九州大学の楠瀬慶太氏が、高知県旧物部村を対象に、丹念に調査された論文です。一読して日本の多くの問題を考えさせられました。物部村は高知県東部、四国山地の山間地です。高度成長期以前、昭和30年ごろまでは、平野部との物流・交易が盛んで豊かであったと書かれています。ひとびとは生業として、林業とその運搬・加工、狭い山間地ながら水田と焼き畑雑穀農業、炭焼、製紙、養蚕製糸に従事していました。これらは平野部・都市部との経済的交流が活発で、忙しく豊かな生活だったことがうかがい知れます。高度成長期、その変化は日本に何をもたらしたのかとの答えが、ここに見られます。林業→家具や建築資材は輸入木材に、燃料木材と炭焼は石油に、食糧としての農業は輸入食料に、製紙は洋紙に、養蚕は化学繊維にとって代わられました。自給自足の循環型社会に、外国から安価な代替え品を持ち込むという、ルール違反。日本国民は疑問ももたず、そちらへなびきました。カネの力は怖い。これらは石油や食糧の輸入がストップすれば、国が崩壊する危険をはらんでいます。いま、働き方改革、テレ・ワーク、オフィス改革と浮かれています。しかし生命維持に必要な農業、生活を便利にする工業の現場は、高齢者と非正規雇用者と外国人がになっています。ひたいに汗して働く職業を忌避し、ネクタイしめてホワイト・カラーへいっせいに向かう国民。これは国の限界集落化ではありませんか。本当に必要とされる仕事をしているのでしょうか。私の生活する京都ではこの数年、清水寺金閣寺といった観光地のみならず、祇園町や錦小路市場までインバウンド外国人であふれていました。常軌を逸したクレージー状態でした。これを普通だと思ってはいけません。コロナ禍という疫病の到来、アッという間にインバウンド蒸発、浮かれていた観光業者は真っ青です。石油、食糧の輸入をいまの状態を普通ととらえるか否か。ひとつ間違えば、日本国が限界集落化します。過疎の問題は災害もふくめて、日本人全体が取り組まねばならない喫緊の問題です。東京都と大阪市法人税、法人固定資産税を2~3倍に税率を上げれば、全国にひとも職場も散らばり、農林業改革、製造業改革を推進すれば、かなり解決へ向かうと思うのですが・・・・・。

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