令和2年の春

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いままで皆で、折り合いをつけて守ってきたものが、ある所から飛び火して手の付けられない山火事、みるみる燃焼消滅してゆくのを見ている感があります。振り返れば、人間は同じ歴史を繰り返してきたように思います。羞恥心、自尊心、ヤセ我慢。過去の過ちに懲りて、モノやカネや地位よりも大切なものに気づき、一旦こころ安らかな状態になるのだけれど、いつしか強欲に侵食され、また焼け野原にたたずむ。繰り返してきました。文化のありようは、世情の指標です。文芸、音楽、映画、演劇、TV、教育、もろもろの趣味までも、次第にゼニになるとなればけたたましくなり、沈思の世界を駆逐してゆきます。グローバリゼーションのかけ声よろしく、土着固有の核心はどこへやら。

爆買い、団体旅行、立ち食い、ゴミ散らかし、叫声にわたしたちは、どこかでイナゴの大発生・到来を感じていたはずです。1億人が住んでいる国に、年間4千万人の観光客。観光はあくまで住民の生活活動に付随するものです。観光が主になるのは異常です。それを喜んで受け入れていたのは、こちら側、日本人も行政も浅ましく変化していたのに違いありません。経済!経済!経済合理性。推進すればするほど、信頼、絆、恥の文化、こころの温もりを失ってきました。TVをみればわかります。トーク番組でさえ、画面の背景はオモチャ箱をひっくり返したような状態です。日本人のこころの状態を表しています。お勉強→受験→大学→就職、の構図が蔓延しました。転職が良しとされ、信頼関係が壊れています。何らかの葛藤に対して、洞ヶ峠を決め込むひとが多すぎます。学問と就職、経済的安定とは何の関係もないのに、企業に役に立たない学問はいらないという。学問と企業活動とは関係がありません。役に立たない基礎学問が大切なのです。

人間はいま、立ち入ってはいけない自然の中まで侵入し、シッペ返しをうけているのです。エイズエボラ出血熱SARS、そしてもろもろのコロナ・ウイルス。グローバリゼーションのかけ声で、あっという間に、世界中に拡散します。何度も失敗を繰り返し、焼け野原→復興→高度成長→富国とイイ気になっていた所へ、また災禍が襲いかかってきました。いま踊り場に立って、これで良かったのかと国民全員が考え直す時です。