夭逝-その1 関根正二

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関根正二写真は「関根正二とその時代-図録、信仰の悲しみ-大原美術館HP、神の祈り-福島県立美術館HPより



年末になりますと、喪中ハガキなどきて、逝ったひとを思います。関根正二は20歳で夭逝した画家です。私が30歳代、ようやく家業に目途がついてきて、家族旅行で大原美術館へ行ったとき出会ったのが「信仰の悲しみ」でした。そうそうたる近代洋画家の作品が並んでいて、「えッ!」とこの絵のまえで足がとまり、それからクギづけになりました。あとその部屋の隅で離れて見ていますと、観覧者のだれもが、この絵のまえで足をとめていました。関根をしらべはじめたのは、それからです。どうしても観たくなった絵がもう1枚ありました。その「神の祈り」を観に、福島県立美術館へでかけました。その展示室で、ほとんど一日、飽かずに観てすごした記憶があります。

 

 

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 絶筆「慰められつつ悩む」

この「慰められつつ悩む」が20歳病死時の絶筆です。死後未完成のまま二科展に展示されました。母親か姉かに支えられ、筆の先に絵の具をつけて署名しようとしましたが、力なくできず筆を落としてしまい、床にもどってそのあと起きられず、その床で絶命したそうです。この絵は50~60号という大作でした。畳1枚分ほどの大きさです。死後この絵は家族のもとにありましたが、まもなくの関東大震災のとき、火災から守ろうとして、だれかが持ち出したまま、行方がわかりません。焼失したとされていますが、もしもこの絵を発見されたら、福島県立美術館、または三重県立美術館か大原美術館へ連絡していただきたく思います。この絵は絵ハガキとしてだけ残っています。